これを本件についてみるに,まず,被告人が,現に行われようとしている具体的な著作権侵害を認識,認容しながら,本件Winnyの公開,提供を行ったものでないことは明らかである。
次に,入手する者のうち例外的とはいえない範囲の者が本件Winnyを著作権侵害に利用する蓋然性が高いと認められ,被告人もこれを認識,認容しながら本件Winnyの公開,提供を行ったといえるかどうかについて検討すると,Winnyは,それ自体,多様な情報の交換を通信の秘密を保持しつつ効率的に行うことを可能とするソフトであるとともに,本件正犯者のように著作権を侵害する態様で利用する場合にも,摘発されにくく,非常に使いやすいソフトである。
そして,本件当時の客観的利用状況をみると,原判決が指摘するとおり,ファイル共有ソフトによる著作権侵害の状況については,時期統計の取り方によって相当の幅があり,本件当時のWinnyの客観的利用状況を正確に示す証拠はないが,原判決が引用する関係証拠によっても,Winnyのネットワーク上を流通するファイルの4割程度が著作物で,かつ,著作権者の許諾が得られていないと推測されるものであったというのである。
そして,被告人の本件Winnyの提供方法をみると,違法なファイルのやり取りをしないようにとの注意書きを付記するなどの措置を採りつファイルのやり取りをしないようにとの注意書きを付記するなどの措置を採りつつ,ダウンロードをすることができる者について何ら限定をかけることなく,無償で,継続的に,本件Winnyをウェブサイト上で公開するという方法によっている。
これらの事情からすると,被告人による本件Winnyの公開,提供行為は,客観的に見て,例外的とはいえない範囲の者がそれを著作権侵害に利用する蓋然性が高い状況の下での公開,提供行為であったことは否定できない。
Winny事件 平成23年12月19日最高裁判所第三小法廷 (via inf)(hexeから)